21世紀空想科学小説
「小惑星2162DSの謎」を読みました。
SFアート十選で紹介されていた作品です。
漢字にかながふってあるあたり、明らかに児童向け書。
でも単なる空想夢物語ではなく、科学的考証に基づいて描かれた場面が続きます。
宇宙船トーチウッドの乗員 家弓トワと人工知能アイリーンと機械頭脳ワトソンが主な登場人物。
人間と人工知能が下位の機械頭脳を教育したり、相談しながら任務を行うあたりは、ベタな人材育成物語であり、名作「2001年宇宙の旅」を彷彿させます。
~人間社会ではどんなに人工知能が高性能になっても、機械には責任をとることはできない。責任をとることができるのは人間という存在だけだった。
だから<アイリーン>が問題を起こしても、その責任は家弓トワのものとなる。それ故に、彼はモニターで作業を監督する。
トワには調査任務に関して、行動の自由が認められている。その自由には責任がともなう。そして責任がともなうから、行動の自由が約束されるのだ。(P22)~
対象読者に理解できるのかな~?と思いつつ正論です。(汗)
~愚直な機械頭脳は、誤差を誤差と思わずにひたすら計算を続け、仮説を立て、データを収集し、仮説を検証し、修正し、データを集める。
そのことを飽きもせずにくり返していたのだ。そしてそれにより、先入観を持たずに現実を直視したことで・・・・(P212)~
PDCAサイクルです。調査研究や仕事の基本。(汗)
表紙イラストや文中の挿絵はソフトですが、社会や仕事の考え方が散りばめられていたり、コンピューター(人工知能)との共生する明るい未来が描かれた内容は、かなりハードSFなのでした。