利休七則
「イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言」
デービッド・アトキンソン 著
著者は、元ゴールドマン・サックス(世界有数の資産運用会社)金融調査室長で、金融機関の統廃合に繋がった不良債権の実態を暴くレポートを著した方だそうです。
スーパービジネスマンに相応しい実力と実績を持ち、現在は国宝・重用文化財の補修を手掛ける会社を引っ張っています。
数字に基づき、感情を排除した分析で「世界第3位GDP」神話(!)を崩し、「ミステリアスジャパニーズ現象」を指摘。
「やるべきことをやれば日本の組織(国)は劇的に改善する!」~その手段のひとつとして「観光立国」を薦めています。
ただ、観光資源としての「文化財保護」~には我田引水?と思ってしまったのですが。
英国の文化財保護施策についての説明があり、歴史的建造物の保護することで、まち並みを整備し観光資源として活用することは納得できます。
それを日本にも取り入れることを提案されています。
実際に金沢でも、まち並み保全の施策があり整備されてきていますね。
建築物を長く保侍していくことは、英国でも日本でも正しい考えだと思います。
正しいのですが、チョッとアマノジャク的発想を。
建築物を保持することは自然に逆らったり、自然を征服する~という思想に基づくものなのでしょうか。
日本には、伊勢神宮の遷宮のように建築物自体が新しく生まれ変わりながら、永続していくという考えがあります。
同じモノを未来永劫に亘り保持することは、反自然なのではないか?~とも思ったり。
本書内容はゴモットモなんですが、外国人にチャベチャベ言われたくないわ~という気持ちが、読み手の根底にあるのかな~。
もっとも、建物を保つのも新しくするにも、かかるモノはかかるのです・・・。(コレはボヤキ)
また、茶人でもある著者は、我々が忘れてしまっている(?)「もてなし」の教えを、思い出させてくれました。
「利休七則」
一、茶は服のよきように点て
二、炭は湯の沸くように置き
三、夏は涼しく冬暖かに
四、花は野にあるように
五、刻限は早めに
六、降らずとも雨の用意
七、相客に心せよ
「もてなし」と「オ・モ・テ・ナ・シ」~は、似て非なるもの。