神無月 朔日 一所懸命!
一路(上下巻) 浅田次郎 著を読みました。
~失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路(いちろ)。
齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。
失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。
差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!~(本書上巻カバー裏面)
「元和辛酉歳蒔坂左京大夫様行軍録 (げんな かのととり まいさかさきょうのだいぶさま こうぐんろく)」
御供頭心得(おともがしらこころえ)
一、参勤交代之御行列ハ行軍也 雖平時 戦備長長無怠可相務
(さんきんこうたいの おんぎょうれつは こうぐんなり へいじといえども いくさぞなえ おさおさ おこたりなく あいつとむるべし)
物語の時代背景は、黒船が来たり、前年に「桜田門外の変」が起きて、やがて「明治」になろうとしている幕藩体制の末期も末期です。
「大阪夏の陣」が起こった頃に書かれた、小野寺家に先祖代々伝わる参勤道中心得に書かれた古式ゆかしい?参勤交代を体現しつつ、中山道を一路江戸へ・・・。
著者の「黒書院の六兵衛」同様に、武士の時代が終わろうとする混乱期に、キラリ!と輝く武士の武士たる正道を貫く一路たちに喝采です!。
やや物語が都合よく進み過ぎる?とも感じるが・・・これはコレでありかな。
月初めに相応しく、ますます元気になれる、現代風痛快歴史小説でした。
何ごとにも 『一所懸命』 なのです。