PRELUDE TO SPACE
「宇宙への序曲」 アーサー・C・クラーク ~ 久しぶりに、ハードSF読みました。
1951年(昭和26年)に描かれた月着陸を目指す物語。
宇宙船「プロメテウス」が1978年にオーストラリア大陸にある「ルナ・シティ」と呼ばれる発射基地から打ち上げられるまでが描かれます。
現実では1969年に液体燃料の多段式ロケット「アポロ11号」が月まで往復の有人飛行を遂げています。
本書の「プロメテウス」号はスペースシャトルのような2機の飛行体、「アルファ(月を目指す着陸船)」と「ベータ(地球周回軌道で待機する母船)」から成り立っていますが、「ベータ」はプルトニウムを燃料とする「原子力ラムジェット」で飛行するという設定。
当然、飛行の際は放射性物質を撒き散らしながら飛びますし、墜落の恐れも・・・。
本書中でも、「ベータ」の換気用導管に侵入した妨害者が高線量の放射線を浴びて・・・の場面あり。
今ではトンデモ話だが、1950年代当時は夢のエネルギー源だったのでした。
でも、スキーのジャンプ台状の発射台から飛び立つ「プロメテウス」を見てみたい気もしますが。
~いまから数週間以内に、われわれは地球から最初の宇宙船を打ち上げたいと思っています。
それが成功するかどうかわかりませんが、いまやわれわれは、惑星へ到達する力を手中にしたようなものです。
この世代は宇宙の大海の波打ち際に立ち、歴史上最大の冒険に乗りだそうとしているのです。
心があまりにも深く過去に根ざしているため、われわれがほかの天体に到達したとき、祖先の政治的思想がなおも通用すると信じる者がおります。
彼らは宇宙空間を超えるために、世界じゅうの国々の科学者が力を合わせなければならなかったことを忘れ、あれこれの国家の名において月を併合することすら話題にします。
成層圏の彼方に国籍はありません。
われわれが到達するいかなる天体も、全人類に共通の財産となるでしょう—ほかの生命体が、すでにそこを領有していないかぎりは。
われわれ、人類を星々への道につかせようと奮闘してきた者たちは、現在と未来のためにこの重大な宣言を行います—
われわれは宇宙に国境を持ち込みません。~
現代は、本書に描かれたモノよりも、進んだ技術を得ている面もありますが、国際協力や宇宙空間利用に関しては、本書の方が進んでいるのかなァ?。