杏っ子

「杏っ子(あんずっこ)」室生犀星

生い立ちの数奇な運命をもちながら、文壇に老大家としての地位を築いた 作家 平山平四郎の生涯と、野性をひそめたその娘杏っ子(杏子)の生々流転を鮮やかに描く。(本書カバー)

600ページ超の長編ながら、新聞連載されていたこともあって、ちょうどいい感じで節が区切られる工夫があり、何とか読めました。

現代のドラマみたい。(今も昔も人間の考え、やることは変わらないってことですか。)

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平山平四郎=著者なのですかね~。

物語の冒頭は金沢です。

明治初期の厳しい生活と辛い幼少期が描かれている。

子供の売買は、特別なことではなく一般的なことだった・・・。

突然、時代が跳んで平四郎は作家としてある程度の地位になっていたのだが、その詳細な過程は敢えて描かなかったのでしょうか?。

とても気になる部分です。

また、芥川龍之介や菊池寛といった有名作家が実名で登場するのは面白い。

 

そして、関東大震災に遭遇した中で誕生した愛娘杏っ子と妻えり子と共に、東京から金沢まで避難する場面は臨場感がありました。

ここでも直近の震災が思い浮かびます。

 

読みながら・・・平四郎と自分を重ね合わせていました。

その子息、平之介(突然登場した!)の件もあり、何となく~似た境遇があったかも?・・・僭越ながら。

感情移入した場面も、チョッと。

 

平四郎:「えらい奴に見当をつけるな、爽やかな男をつかまえるんだね。」

杏っ子:「ほ、ほ、おさかなみたい。」

平四郎:「男女いずれも捕まえっこに始まる。捕まり損なってもいいじゃないか、間違いだらけの人 生に男女二人だけがきちんと箱詰めになる理由はない。」

杏っ子:「せいぜい勉強するわ。」

 

勉強ね~。(;^_^A