白鹿亭奇譚

「白鹿亭奇譚」A・C・クラーク/平井イサク 訳

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~(ロンドン)フリート・ストリートからエンバンクメントに通じている、名もない裏通りの一つを歩いていくと、ひょっこりと<白鹿亭>の前に出る。が、その場所をここで説明しても、何の役にもたたない。これまでに、ついにこの店を探しあてたのは、いかなる艱難辛苦にもめげず、何としてもたどりつこうと心に誓って出かけてきた、ごく少数の人びとだけなのだ。~

 

この酒場(パブ)に集うのは、新聞記者、作家、編集者たち。

談論風発~数々の驚くべき話(短編集なので)が聞けるのでした。

1956年に発表されたため、東西冷戦、原子力、電子計算機・・・といった当時の世相や最先端技術がテーマになった作品(ホラ話?)多し。

英国風(?)のウイットに富み、ヒヤリ・・・としたり、ニンマリしたり、考えさせられたりする短編が続きます。

60年前の作品ながら、AI、放射能汚染、海水からレアメタル採集といった現代にも通じるテーマもあり、全編のオチも秀逸です。 

本棚から発掘した一冊。

一度、読んでそのまま棚の”肥やし”になっていました。

数十年ぶりに、ようやく<白鹿亭>にたどり着けたのか・・・。