すばらしい新世界
「すばらしい新世界」 オルダス・ハクスリー著/黒原敏行 訳
サピエンス全史に、本書名が登場していたので読んでみました。
1932年(昭和7年)に刊行された、西暦2540年(フォード紀元632年)を描くディストピア(反理想郷)未来小説。
その社会の人間は、国家のために必要な支配層のアルファとベータ階級と、下層のガンマ、デルタ、エプシロン階級に分けられ、工場の瓶の中から生み出されて、各層階級ごとに生後間もなく「条件付け」を施され支配者や従順な労働者として成長していく。
快楽薬ソーマ(安全な麻薬?)が与えられ、階級社会ながら不平不満とは無縁の安定社会が築かれている。
第1章の<中央ロンドン孵化・条件付けセンター>のシーンは、本書を読むのをやめようか・・・と思うくらい、嫌な、不気味な描写の連続でヘドが出そう。
「家族」が無く、その概念すら無い未来。
平和が保たれているユートピアではあるが・・・「歴史」「読書」は封印され、支配層の一部を除き人々の思考は停止しています。
遠い未来の空想話だが、今でも思い当たることがあるのではないか・・・と。