ゆりかごから墓場まで・・・
「教養としての社会保障」 香取照幸
社会保障というと、社会保険料が伴う健康保険、年金、雇用保険、介護保険といった項目を思い浮かべます。
よく見かける言葉ですが、手続きや制度自体がややこしい?イマイチワカラナイと感じています。
少しでも、その理解が進めばいいなぁ~との思いで読みだすのでした。
著者は、厚労省年金局長も務めた「ミスター年金」ともいわれるエース官僚。
退官され、現在は在アゼルバイジャン共和国日本国特命全権大使だそうです。
読みながら・・・付箋っを貼った頁が増えていく・・・。
「すべての国民が社会的、経済的、精神的な自立を図る観点から、
(1)自ら働いて自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという「自助」を基本として、
(2)これを生活のリスクを相互に分散する「共助」が補完し、
(3)その上で、自助や共助では対応できない困窮などの状況に対し(略)、受給要件を定めた上で必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などを「公助」として位置付ける。」
ということになります。そして、ここでいう「共助」のシステムとして、国民の参加意識や権利意識を確保する観点から、負担の見返りとしての受給権を保障する仕組みとして、国民に分かりやすく負担についての合意が得やすい社会保険方式が基本となっているのです。
つまり、現行の社会保障制度の基本的な哲学は、「自助」を基本に「共助」で補完する、ということです。自立を支えることが社会保障の目的だと位置付けられるのです。
国民は社会的、経済的、精神的に自立をし、自ら働いて自分の生活を支え、自分の健康は自分で維持する、というのが基本です。しかし、自助だけではリスクを防御しきれない場合もあります。病気になった人がそのたびに社会からこぼれ落ちるということがないように、互いに支え合うこと、すなわちそれぞれの生活のリスクを分散する「共助」で補完して、それでも困窮に陥ってしまった人を「公助」で支えるというのが我が国の社会保障の基本です。(P.47~48)
社会保障制度は、毎年100兆円ものお金が動く、常人では計り知れない世界です。
このような制度・仕組みを編み出し普及させた官僚と呼ばれる方々は、とてつもなく優秀。
また、国家財政、経済、教育、医療、治安と社会保障の仕組みはすべて連動しているということがよく分かりました。
その点からも少子高齢化への対応は待ったなし!。
それも持続可能なモノが求められるが・・・難。
優秀な官僚の方々に頑張っていただかねば・・・と思う一方、同時に我々も制度を理解し協力する姿勢が求められるのだなぁ。
・・・著者の術中にハマったのかもしれないが、現実なのです。
一家に一冊?。