江戸の味を食べたくなって
「江戸の味を食べたくなって」池波正太郎
時代モノ読んだことないが・・・。
第一部「味の歳時記」では、それぞれの季節の味に魅了されます。
・・・鮪の刺身が残ったとき、これを山葵醤油に一晩漬けておき、翌朝(といっても、私の第一食は昼ごろになる)の食卓に焜炉の網で焙りながら、熱い飯といっしょに食べるのは私のたのしみだ。
このために、わざと鮪を残しておく。山葵醤油の山葵も、このときは、むしろ粉山葵をたっぷりと使ったほうがよい。
濃くいれた煎茶へ塩をひとつまみ落し、吸物がわりにする。
これに大根の漬物をきざみ、柚子をかけまわしたものであれば文句はない。・・・(P.98)
これは、文句ないです。
読みながら、挿し絵(池波正太郎画)を見ながら、食べる瞬間を想像する~たまらない!。
江戸風情が残る浅草~下町の光景が浮かびます。
第二部「江戸の味 東京の粋」・・・鮨屋と天ぷら屋は長っ尻しちゃいけねえよ。
なるほどー。
第三部「パリで見つけた江戸の味」では、パリやマルセイユ・・・訪れたまちの風景や料理、ワインを想像して、ヨダレが~。
料理を画像で見せられるより文章の方が、その姿形はモチロン、味覚までもが思い浮かびます。
これぞ、超一流作家の筆力。
・・・「人間は死ぬために食べている。しかも明日が最後の日でないという保証はない。だからこそ、きょうの一食一飲が大事なのだ」・・・
江戸の味が食べたくなりました。