亡命者の古書店
「亡命者の古書店」続・私のイギリス物語 佐藤優
・・・大学在学中、チェコの神学者・フロマートカの人生に惹かれた著者は、神学研究の志を秘め外務省に入省、ロンドン郊外でロシア語研修に入る。そして任官2年目、同じく亡命チェコ人で、社会主義国の禁書を扱う古書店店主マストニークと出会い、彼を師として、宗教や民族、国家を巡る対話を重ねながら、世界の読み解き方を知る。・・・(本書カバー裏面)
前回の「紳士協定」と、ほぼ同時期の自伝エッセイ。
しかしながら、神学研究や思想を語る場面が多く、何回読んでも難解で~難解で、重い(眠い)話が続く~のでした。
日本国内にいるとなかなか理解し難い現実が、次々と現れてきます。
諸外国の民族事情は、なんと複雑なのだろう。
著者が他所でも語る、日本と沖縄のアイデンティティの違いを感じたキッカケはここにあった。
イギリス(連合王国)内でもイングランド・北アイルランド・スコットランド・ウェールズでの違いはある。
多民族国家アメリカではなおの事。
当時のソ連も(現在でも)民族紛争は絶えない。
・・・われわれ自身にとってもロシアは解きがたい神秘である。ロシアは矛盾撞着、二律背反の国だ。ロシアの魂はいかなる教養をもってしても尽くせない。チュッチェフはおのがロシアについていっている。
知恵でロシアはわからない
物差しで測りもならず
彼女の容姿は一種独特~
ロシアは信ずるほかに道がない(フョードル・イワノビッチ・チュッチェフ)
まことにロシアは知恵にとって不可思議きわまるもので、教養や学説のどんな物差しをもってしても測りえないといえる。がそのロシアを信ずるに各人各様、それぞれはその信仰をうらづける事実をロシアという存在のまったき矛盾のうちに見だしている。ロシアの魂のうちにひそんでいる神秘の解明に近づくには、ロシアの二律背面、その不気味な矛盾をそっくりそのまま認めてしまえばよい。・・・
推測出来ない相手は信用するしかない?。
外交~インテリジェンスの世界は、魑魅魍魎が跋扈する複雑怪奇な場所で、一般人がチャベチャベとのぞき見たり、ムタムタいうことはない(出来ない)~ということが、よくワカリマシタ。