その日暮らしの人類学
「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 小川さやか
・・・わたしたちはしばしば、「働かない」ことに強くあこがれながらも、計画的にムダをなくし、成果を追い求め、今を犠牲にしてひたすらゴールを目指す。
しかし世界に目を向ければ、そうした成果主義、資本主義とは異なる価値観で、人びとが豊かに生きている社会や経済がたくさんあることに気づく。
「貧しさ」がないアマゾンの先住民、気軽に仕事を転々とするアフリカ都市民、海賊行為が切り開く新しい経済・社会・・・。(本書カバー)
本書の根底にあるのは~Living for Today~その日その日を生きる~人びととそこに在る社会の仕組みを論じることを通じて、生き方と社会を再考すること。
その日暮らし・・・と言えば、怠惰な生き方のような気もするが・・・実際は、誰しもその日その日を生きている。
成果を求めて懸命になっているか、のんびりしているかの違いはあります。
本書で紹介されるアフリカ商人と中国交易人達の、いい加減でもあり場当たり的でもありながらも日々活動している姿には力強さを感じる。
やってみてダメだったらきっぱりと商売換えし転職~そして転職を繰り返す。
金は天下の回りモノ~無いなら借りればいい~返すのを忘れる?返さない?、また違う人から借りる。
大量のコピー商品~まがい物。
そんなバカな、ルーズな!と、先進国ルールは通用しない原自然経済、未来を考えない。
見方を変えれば互助のような助け合う経済社会だが・・・。
論文調で読みづらい部分もあったが、先進諸国の資本主義経済の対極にあるもう一つのミニマム資本主義経済。
江戸っ子は宵越しの銭は持たない~も似たような感覚かも。