自分の「異常性」に気づかない人たち

自分の「異常性」に気づかない人たち 西多昌規

精神科医師である著者が体験した患者の症例が綴られています。(モチロン、プライバシーのため脚色されている面もあります。)

キレる高齢者・・・近所トラブル・・・パワハラ・・・クレーマー・・・といった、話題が、普通?になってしまっている現代社会だからこそ、読もうと思ったのかもしれない。

いきなり、本書の冒頭に記されている「あなたは、自分のことを精神的に正常だと思いますか?」との問いかけにドキッ!とします。

正常と異常の中間も存在するし、異常度○○パーセントと数値化出来るものでもないなかで、実は精神科に通う必要があるのに、世間体もあり通わずに症状を悪化させることもある。

それだけ、診断や治療が難しい。

そもそも正常と異常は誰が決めるのでしょうか。(精神科医?)

大多数が反社会的~と感じる行動をとり出したら異常?。

 

・・・正直に言って、厳しくつらい臨床経験ではあったが、こうしたさまざまな患者とのやりとりを通じて、いつしか患者だけではなく、自分ないし自分のまわりの人たちが果たして精神的に本当に正常なのかどうかという疑問が、湧いてきたのは間違いない。

これまでの職場を思い出しても、ユニークを通り越して「この人はおかしいのではないだろうか」という精神科医はたくさんいた。事実、精神科医は変わった人間が多いと思う。(中略)変人だから精神科を選ぶのか、内科や外科などハードな診療科では通用しないから精神科なのか、精神科医になる理由は人それぞれである。この仕事をしていると、自分が正常であるという自信が正直揺らいでくる。本書を執筆する動機をあれこれ考えていたが、「自分は大丈夫なのか」という動揺が、いちばん強力な動機かもしれない。・・・(はじめに)

 

正常か否か?と不安になることが正常を保つポイントなのかなぁ?。

しかし、それが原因で異常に向かったりして・・・。