ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 弥生 朔日 

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ

老人はすべてを信じる。
中年はすべてを疑う。
若者はすべてを知っている。
子どもはすべてにぶち当たる。

・・・英国で「ぼく」が通うイカした元・底辺中学校は、毎日が事件の連続。人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり・・・。世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子とパンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。私的で普遍的な「親子の成長物語」。・・・(本書帯)

 

英国の地方都市の公立中学校での日常的な出来事・・・血なまぐさい事件や犯罪めいたこともタマにはあるが~これが、英国では平均的な普通のことなのです。

富者と貧者の棲み分けや通学する学校の違いで「ソーシャル・アパルトヘイト」なる言葉があるという。

従来の階級社会が現在でも息づく英国ならではのこと・・・ではないです。

世界的に格差社会となっている現在、将来の日本国内の日常かもしれない・・・と思いながら読んでいました。

 

・・・「そうか。ダニエルはここのところショック続きなんだね」

「うん」

「しかし、知らない間に成長しているんだね、君たちも」と言ったら、当然じゃん、というような顔つきで息子が一瞥をくれた。

さんざん手垢のついた言葉かもしれないが、未来は彼らの手の中にある。世の中が退行しているとか、世界はひどい方向にむかっているとか言うのは、たぶん彼らを見くびりすぎている。・・・(P.176)

 

本書の「息子」くんを始めとする、友人やクラスメイトに勇気づけられるのでした。

「いろいろあるのが当たり前だから」(P.170)

 

本書のタイトルも秀逸です~モチロン内容もグッド!。

薦めたくなる本です。