すべての見えない光

「すべての見えない光」 アンソニー・ドーア  藤井光 訳

・・・孤児院で幼い日を過ごし、ナチスドイツの技術兵となった少年。パリの博物館に勤める父のもとで育った、目の見えない少女。戦時下のフランス、サン・マロでの、二人の短い邂逅。そして彼らの運命を動かす伝説のダイヤモンド・・・。(本書カバー)

 

おととし年末に購入して~500ページ超の見かけに躊躇。(^_^;)

そのまま積読状態だったが、ステイホームのおかげでやっと手にしました。

読み出すと「見えない光」に引き込まれるように戦時下のヨーロッパへ・・・。

 

今更ながら、本はよく味わって読もうと思った。

盲目のマリー=ロールが点字の「海底二万里」を「読む」場面で痛感・・・飛ばし読みなんてしたらダメだ・・・大事に大事に読もう。

このように心がけて読んだため時間がかかったが、かえって良かった。

 

孤児のヴェルナーが進学する国家政治教育学校を始め、レジスタンス活動~戦時下の描写もリアル~オソロシイ・・・。

かつて繰り広げられたことは~ネットで見る、現在のサン・マロの美しい光景と同じ舞台での出来事なのか。

 

・・・目に見える光のことを、我々はなんと呼んでいるかな?色と呼んでいるね。だが、電磁波のスペクトルは、ゼロから無限まで広がっているから、数学的に言えば、光はすべて目に見えないのだよ。・・・(P.55)

 

第二次世界大戦が終わって75年経過。

過去と現在は「見えない光」でつながっていて、歴史上の過ちを伝えている。

 

 

・・・彼はこう言うだろう。リルツグミちゃん、どうしてこんなに遅くなったんだい? こう言うだろう。百万年たってもずっと一緒にいるからね。・・・(P.343)

 

とても、読みやすく優しさがあふれる訳だと思いました。(原文読めないけど。)

時間かかった(かけた)けど読んでヨカッタ、おススメです。