ワイルドサイドをほっつき歩け
「ワイルドサイドをほっつき歩け」 ハマータウンのおっさんたち ブレイディみかこ
恋と離婚、失業と抵抗・・・。
絶望している暇はない。
日常をゆるがす大問題、社会の変容を前に、右往左往しながら立ち上がる中高年を描いた、笑って泣ける待望のエッセイ集!。(本書帯)
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」が、現代イギリスの若者版ならば、本書はオッサン(5~60代)奮闘記。
登場の面々は「ベビー・ブーマー世代(1946年~1964年生)」で、英国紳士・・・とは程遠い、「地べた」の労働者階級の白人たち。
さすがに、以前!のようなハチャメチャな生活はしていないが、なかなか複雑な家庭環境や事情が見え隠れします。
ブレグジットや政府の緊縮財政に翻弄されながらも、したたかに生きている。
中高年世代なので、何がしかの身体的な不都合があります(他人ごとじゃないが・・・)。
ほぼ無料で受けられる英国の医療制度~NHS(国民保険サービス)が、緊縮財政政策で利用しにくくなって来ている~と本書にある。
英国でのコロナ蔓延原因の一つでしょうか?。
日本の保険制度は何とか維持して欲しいと感じる・・・(将来の日本を暗示しているのかも)。
・・・「まあなー、でも死ぬこたあねえだろ。俺ら、サッチャーの時代も生きてたし」と連合いは言う。
そりゃそのとおりだ。英国のおっさんたちは、スウィンギング・ロンドンも、福祉国家の崩壊も、パンク時代も、サッチャー革命も、ブレアの第三の道やイラク戦争も、金融危機も大緊縮時代も見てきた、というか、乗り越えてきた。
政情がどうあろうと、時代がどう変わろうと、俺たちはただ生き延びるだけ。
彼らを見ていて感じるのは、そんないぶし銀のようなサバイバル魂だ。ちょっと愚痴は多いし、やけくそっぽい性質もあり、いい年をしてどうしてそんな無謀なことをするのかと呆れることもあるが、杖をついてもワイルドサイドを歩きそうな彼らのことを見守っていくことになるんだろう。・・・(P.250)
間違いなく優等生ではなく、自分の好きな(出来ること?これしか出来ない?)道をフラフラ~ヨタヨタながらも歩み続ける、おっさんたち。
おっさん(&おばさん)は、頑張って生きている!。
これも著者前作同様~おススメ、良本です。