月と六ペンス

「月と六ペンス」サマセット・モーム  金原瑞人 訳

・・・ある夕食会で出会った、冴えない男ストリックランド。ロンドンで、仕事、家庭と何不自由ない暮らしを送っていた彼がある日、忽然と行方をくらませたという。パリで再開した彼の口から真相を聞いたとき、私は耳を疑った。四十をすぎた男が、すべてを捨てて挑んだこととは・・・。(本書カバー)

 

数多い、名前だけ知っていて、内容はマッタク知らない一冊です。

「わたし」が語る画家ストリックランドの半生。

ストリックランド(架空)=ゴーギャンかと思った(モデルにはなっていた)。

破天荒な画家人生を送るが、その作品はなかなか評価されない。

それでも、ストリックランドは絵画を描き続ける~不治の病にかかっても。

 

・・・ストリックランドには感謝も同情もない。たいていの人間に共通する感情が欠けているのだ。欠落しているといって責めても意味がない。それは虎を凶暴で残忍だといって責めるのと同じだ・・・(P.192)

 

そんなストリックランドの才能に魅せられ、とことん?支援する「わたし」の友人ストルーヴェがいる。

読むうちに、どこまでも徹底的?にお人好し、コンジョヨシなストルーヴェに自分を重ねていたり・・・(反省・自虐も含め)。

 

・・・タヒチでは、現地人もヨーロッパ人も、ストリックランドを変種の魚のように思っていたのだ。だが、この島には変わった魚などいくらでもいる。珍しくもなんともない。世の中にはおかしな人間がたくさんいておかしなことをしている。そんなふうに思っているようだ。彼らは知っていたにちがいない。人はなりたい姿になれるわけではなく、なるべき姿になるのだ、と。・・・(P.330)

人は、月にも六ペンス硬貨にもなれる・・・?。

ゴーギャン 「我々は何処から来たのか、我々は何者か、我々は何処に行くのか」↑

ストリックランドが、命の火消える直前に描き上げたのは、この絵のイメージだったのか?と思ふ。