「利他」とは何か
「利他」とは何か 伊藤亜紗 編 中島岳使 若松英輔 國分功一郎 磯崎憲一郎
・・・コロナ禍によって世界が危機に直面するなか、いかに他者と関わるのかが問題になっている。そこで浮上するのが「利他」というキーワードだ。他者のために生きるという側面なしに、この危機は解決しないからだ。しかし道徳的な基準で自己犠牲を強い、合理的・設計的に他者に介入していくことが、果たしてよりよい社会の契機になるのか。・・・(本書カバー)
「利他」~自分ファーストではなく、他者に施し、奉仕することで周囲が良くなり、巡り巡って自らも良くなっていく~「三方よし」のような感じに捉えていました。
・・・利他主義とは、合理的な利己主義にほかなりません。みずからが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要があります。利他的であることは、ひいては自分の利益になるのです。またほかの国々が感染していないことも自国の利益になります。たとえば日本の場合も、世界の国々が栄えていれば市場が拡大し、長期的にみると国益にもつながりますよね。・・・ジャック・アタリ
本書で、このようなジャック・アタリの合理的利他主義のコメントが紹介されています。
さらに利益を動機とする合理的利他主義の発展形?である効果的利他主義というのもあるというが・・・ここまで行くと「利他」なのかもしれないが、何か違うような気がするのでした。
・・・「利他」の反対語は「利己」ですが、このふたつは常に対立するものではなく、メビウスの輪のようにつながっています。利他的な行為には、時に「いい人間だと思われたい」とか「社会的評価を得たい」といった利己心が含まれています。利他的になろうとすることが利己的であるという逆説が利他/利己を巡るメビウスの輪です。・・・(P.210)
コロナ禍によって、自分ファースト(利己主義)の反動として「利他」がクローズアップされています(利己的だと世の中(地球)が限界に・・・)。
それぞれの論客が語る「利他」は、なるほどーと思う面もあるが、かなり難解・・・。
そもそも「利他」という言葉からして、「利」とは?「他」とは?・・・と突き詰めると、「忘己利他(もうこりた)己を忘れて他を利する」・・・もう懲りた。(^_^;)
そんなに難しく考えないで(身も蓋もないか?)、自分が無理なくできる募金や奉仕活動くらいの考えで良いのでは?。
社会的な評価を得たい~とかではなく、純粋に喜んでもらえて良かったな~、困った時はお互いさまですよ~でいいかと。
コンジョヨシやなー、といわれるくらいが、自分流の「利他」の感覚に近いと思うのでした。