ふたりの証拠
「ふたりの証拠」 アゴタ・クリストフ
・・・戦争は終わった。過酷な時代を生き延びた双子の兄弟の一人は、国境を越え、向うの国へ行った。もう一人はおばあちゃんの家がある故国に留まり、別れた兄弟のために手記を描きつづける。厳しい新体制が支配する国で、自分がなにを求め、どう生きていったかを伝えるために・・・。(本書カバー)
「悪童日記」三部作の第二作。
「ぼくら」の名前や、各登場人物の固有名詞が明らかに?なります。
アイデンティティが得られた・・・というか中身はどうであれ、国や言語を取り巻く環境が少しは安定してきたからでしょう。
戦後の混乱から「ハンガリー動乱」と思われる政変が物語の背景にあります。
そんな中でも、留まった「ぼくら」の一人リュカ(LUCAS)の生活環境が、以前よりかなり良くなっていて安堵・・・。
加えて15歳ほどなのに、幼い子を引き取って育てることになります。
本当に、あの「ぼくら」なのか?、なにか特殊な理由があるのか?と、勘ぐってしまう。
前作より安心?して読めるが、新たな謎が散りばめられています。
終わり間際に現れた、もう一人の「ぼくら」クラウス(CLAUS)でさらに???。