鷗外の恋 長月朔日
「鷗外の恋」舞姫エリスの真実 六草いちか
・・・「エリスにたどり着くまでの道のりは、蜘蛛の糸をたぐり寄せるような、心許ない作業のくり返しだった。夏のある日の夕方、それは一丁の拳銃から始まった」
予期せぬことがきっかけでスタートした「舞姫」エリスのモデル探し。日本文学史上最大の謎・エリスの真実が一三〇年の時を越え、いま明らかになる。・・・(本書カバー)
本書を読む前に「舞姫」を読んだ方がいいのか?とも思ったが、そのまま本書に取り組みました~何となく「舞姫」の概要はわかったような。
「舞姫」の主人公 太田豊太郎(≒森鷗外?)は、現代だと大炎上案件です。
鴎外もそうなのかー?。
ドイツから帰国した鴎外を追って、単身日本までやって来たという元恋人エリーゼ・ヴィーゲルトが「舞姫」エリスのモデルのようです。
せっかく日本までやって来たのに、ゾンザイ~としか言えないような扱いをされ(だと思う)ひと月あまりで帰国の途に・・・。
著者の執念?探求の結果、エリーゼの人物と鴎外との関係(一部)が明らかになります。
歴史上の、物語上の人物・・・のままで、そっとしておいてもよかった気もするが・・・言い出したら、本書を否定することになってしまうかー。
エリーゼを探すなかで、ベルリン市内の地図や地名・通り名・建物名称が多く登場します。
ベルリンは未訪問ですが、かつて訪れたドイツの街並みを思い浮かべながら、ガイドブックのような感じで本書を見ていました。
・・・あの夏の日の夕方、もし射撃の誘いを断っていたら・・・、もし向かいの男性が「鴎外」という名を口にしなかったら・・・、M氏が私の隣に座らなかったら・・・、もし市立博物館の史料部に行かなかったら・・・(中略)・・・これらのどのひとつが欠けても、どの順序が違っても、エリーゼにたどり着くことはなかっただろう。今思い返しても不思議でならない。(中略)本書によって、「舞姫」を新たに、または、再び手に取る人が増え、本書が、「何が」だけでなく、「なぜ」書かれたのかについてまで思いを巡らせるきっかけになれたら、どんなに嬉しいだろう。・・・(P.360~361)