ブルックリン・フォーリーズ
「ブルックリン・フォーリーズ」 ポール・オースター 柴田元幸 訳
・・・六十歳を前に、離婚して静かに人生の結末を迎えようとしてブルックリンに帰ってきた主人公ネイサン。わが身を振り返り「人間愚行(フォーリーズ)の書」を書く事を思いついたが、街の古本屋で甥のトムと再開してから思いもかけない冒険と幸福な出来事が起こり始める。そして一人の女性と出会って・・・(本書カバー)
『人類愚行の書(ザ・ブック・オブ・ヒューマン・フォーリーズ)』とは・・・。
一人の人間としての長い、波乱含みのキャリアのなかで、自分が犯したあらゆる失態、ヘマ、恥、愚挙、粗相、ドジを極力シンプルで明快な言葉で綴る。
自分について何も話が思いつかなかったら、知り合いの身に起きたことを、そのネタも尽きたら人類の同胞全体に目を向けて歴史的出来事を、古代世界の消えた文明からはじめて二十一世紀最初の数か月に至るまで、ありとあらゆる時代の愚を記す。
己の魂をさらけ出すとか、陰鬱な内省に耽るとかではなく、軽く茶番めいたトーンで自分も書くことを楽しむことを目的に~。
物語全体がネイサンの書く「人類愚行の書」だったのかも。
登場人物は、LGBTだったり、ややヨコミチに逸れたりとマイノリティーな人々が多い。(日本の基準?に当てはめると)
アメリカ社会の現実が描かれているのかと思う。
やがて、ネイサンの周りは紆余曲折ありつつも、良い(と思われる)姿へと向かうも・・・ラストが。(こう来たか・・・)
ネイサンの「人類愚行の書」は、書き手を変えてこれからも続くのでしょう。