日蓮
「日蓮」 佐藤賢一
・・・地震が起こる。疫病が蔓延する。命が無惨に失われる。何故だ。日本が悪法に染まってしまったからだーーー。日蓮は法華経への帰依を説き、他宗派に敢然と挑む。それは権力者たる北条氏を敵とすることに等しかった。斬首の危機、佐渡への配流。苦難の中で、信じる法をひたすら世に広め続ける日蓮は、その信仰と情熱で人びとを救うことができるのか。・・・(本書カバー)
浄土宗、天台宗、禅宗、真言宗、律宗~とにかく他宗を否定し、「南無妙法蓮華経」を唱える~法華経こそが、最も奉ずべき教えであると説法する日蓮。
そこまで意地?を張らなくても、どこかで他宗派と折り合いをつけて共存する方法もあったかと思いますが・・・真の求道者か?。
「立正安国論」を著し鎌倉幕府に献策するも、命の危機にさらされる。
現代に続く日蓮の教え~「南無妙法蓮華経」のお題目~偏見かもしれないが、新興宗教に都合よく解釈されている?といった見方をしていました。
「南無阿弥陀仏」と、どちらがいいか?信仰なので優劣は決められないと思うが、気になるところです。(気にしなくてもいい?)
・・・「ええ、そうなのです。法華経をただひたすら弘めよと、それこそ仏の本意であるに違いありません」 日蓮は法難の傷が刻まれた額を前に押し出した。釈迦仏の遣いとして南無妙法蓮華経を流布せんとする者を、あるいは罵倒し、あるいは悪口し、あるいは流罪し、あるいは打擲し、弟子眷属まで種々の難に遭わせる者たちが、安穏でいられるはずがない。その罪ゆえに法難は免れがたい。日本国一切衆生、兵難に遭わずに済まされるわけがない。その理(ことわり)が蒙古に攻められることで、ようやく皆の骨身に沁みようとしているのです。・・・(P.468)
当時の末法思想は、混沌とした現代社会にも通じる面もあるかと思います。
現代社会を救うのは信仰か経済か、また違う何かか?。