苦しくて切ないすべての人たちへ
「苦しくて切ないすべての人たちへ」 南 直哉
・・・仏教が手を伸ばそうとするのは、苦しくて切なくて悲しい思いをしている人たちで、その人たちのためだけに仏教はある。(略)そもそも、僕たちは誰も生まれようと決心して生まれてこない。(略)問答無用でこの世界に投げ出され、一方的に体と名前を押し付けられて、「自分」にさせられる。まさに不本意なまま、予め人生は始まっていまっている。これが重荷でなくて何が重荷と言うか。もう生き始めた最初から、すでに大仕事になっているのだ。・・・(「後ろ向き人生訓」より)
新聞書評で気になった、禅僧で恐山菩提寺院代の著者が語る、心の重荷を軽くする後ろ向き人生訓?。
前向きでなくてもいい、夢や希望を無理に言わなくてもいい~僧らしからぬ(多分)内容のオンパレードでした。
拝金・市場主義(至上主義)から一歩下がってみる社会~仏教の他宗派への批判もあるのかもしれません。
とても読みやすく感じたのは、元々後ろ向きだったからなのかもしれない・・・。
霊場・恐山~で、スピリチュアルな内容を想像しがちですが、至って「正当」な仏教関連本だと思います。