メトロポリタン美術館と警備員の私

「メトロポリタン美術館と警備員の私」 世界中の<美>が集まるこの場所で パトリック・ブリングリー著 山田美明[訳]

・・・最愛の兄が26歳で亡くなったとき、彼が望んだのは「立ち去ること」だけだった。彼はその通りに行動し、仕事を辞め、思いつく限りで最も美しい場所に避難することにした。その場所は ―― ニューヨークのメトロポリタン美術館だった。・・・(本書カバー)

 

美術館に収蔵されている美術品を検索しながら読んでいたので時間がかかりました。

実際の美術館と同様、タイパを図るものではないと思います・・・。

警備員仲間は、様々なバックボーンの多種多様な人々~まさに、ニューヨーク。

最高の美術品と仲間に囲まれた至福の職場(委託ではない美術館直轄)かと思います。

それだけ働く方もモチベーション高いのでしょう。

美術作品と自らの人生を結びつけて、これまでと、これからを考える時間と空間。

・・・ジョセフはきっぱりと言う。「おれはここであと四年働くよ。そしたら大好きな場所に帰る。ガーナにある母親の村にね。そこで何をするかって?朝起きて、漁師たちの様子を見物する。大漁だったらその魚を買う。不漁だったら買わない。セクションGにあるウィンスロー・ホーマーの絵(メキシコ湾流)、知ってるだろ?黒人の男がいかだの上に寝ているやつ。サメがその男を取り巻いていて、遠くには嵐も見える。でもその男はすでに最悪の人生を経験しているから、そんなふうに落ち着いていられるんだ」ジョセフはそこでその男と同じポーズをとる。・・・(P.285~P.286)

 

行ってみたい美術館が増えました。