こころの散歩

「こころの散歩」 五木寛之

著者のエッセー集で、かなり以前のものか?と思ったらコロナ禍中に書かれた最近?のエッセー集でした。

まだまだ現役!で著されているのは素晴らしい。(僭越です m(__)m)

読みやすい語り口調の文章は、ほんわか~気分になれます。

著者と交流のあった著名人が数多く登場するが、自慢っぽく?なく、内容にとても自然に入っていけるのはステキ。

古き良き「昭和」のお話も・・・と言っても、現在では有り得ない?暗黒話もありますが教訓っぽくない感じがします。

 

・・・私たち日本人は、自然と和して暮らしてきた民族だ。自然を敵として、絶対に押さえ込んでやるぞ、と対決する姿勢で生きてきたのではない。歴史をふり返ってみれば、いくつかの例外はあるだろう。しかし、一般の日本人の意識は自然に対して、戦争を挑む姿勢ではない。しかも、日本は地震国でもある。地震と戦って勝てるか。誰が考えてもそれは不可能だ。せいぜい予知のシステムを充実させるくらいだろう。(中略)阪神・淡路大震災の傷も、東日本大震災の被害も、まだ癒えないままに新しい災害が襲ってくる国土に私たちは生きてきた。そしてこれからも生きていくにのだ。(中略)すなわち「天災は忘れた頃にやってくる」のである。せっせと手洗いをして、マスクをかけ、外出をひかえているあいだは、まず何とかなるだろう。それを忘れて調子にのったときがあぶないのだ。この先、なにがおこるかは誰にもわからない。この国に住んでいる以上は。・・・(忘れた頃にやってくるもの)