モモ

「モモ」 ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳

・・・町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町のひとたちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍びより・・・。(本書カバー)

 

次回、読書会の課題本となったので12年ぶりに再読。

児童文学なので読みやすいが、かなり本質を突いてくる箇所が多々あります。

町の広告塔や職場に掲げられた標語の数々・・・「時間節約こそ幸福への道!」「時間節約をしてこそ未来がある!」「時間は貴重だ――むだにするな!」「時は金なり――節約せよ!」・・・まるで、戦時中の標語のよう。

作業効率を上げ、時間を有効活用?するのは、良いことだと思うが・・・。

物語中の町の風景は、灰色の男たちが跋扈するようになって一変するが~それは現代社会そのまま。

思わず口にしてしまう、忙しい~時間が無い~それは灰色の「時間どろぼう」が、時間を奪っているからなのかもしれない。

その「時間どろぼう」なる存在は、いったい何処からやって来たのか?を考える。

 

印象に残っている作品で、再読機会があって良かったです。

たまに開く必要があるかも。

 

・・・「時間がない」、「ひまがない」ーこういうことばをわたしたちは毎日聞き、じぶんでも口にします。いそがしいおとなばかりではありません、子どもたちまでそうなのです。けれど、これほど足りなくなってしまった「時間」とは、いったいなになのでしょう?・・・(訳者のあとがき)