ヴェネツィアに死す

「ヴェネツィアに死す」トーマス・マン/岸美光 訳

・・・高名な老作家グスタフ・アッシェンバッハは、ミュンヘンからヴェネツィアに旅立つ。美しくも豪壮なリド島のホテルに滞在するうち、ポーランド人の家族に出会ったアッシェンバッハは、一家の美しい少年タッジオぶ強く惹かれていく。・・・(本書カバー)

 

「ベニスに死す」のタイトルで映画化されているので、タイトルは知っていました。

しかし、ストーリーはマッタク知らず。

冒頭部分では、アッシェンバッハが住むミュンヘンの光景をグーグルマップで確認しながら読んでいました。

物語にある英国式庭園(イングリッシュガーデン)・・・かつて訪れたことがある場所・・・なんと懐かしい響き。

マップ上で知っている場所や通り名を見つけ、時空を超えた旅へ。

同じ場所でも、物語上の光景と、自分が知っている光景と、現在の光景は全く違うだろうけど、しばし、ミュンヘンの街中に立っています。

ヴェネツィアに行く前にお腹いっぱい、満足してしまった。(ヴェネツィアも思い出の地・・・)

 

作中には、ギリシャ神話・オデュッセイ等に関わる言葉がたくさん登場します。

調べていくと・・・なるほど、物語の伏線や必要な知識。(パイドロス・ヒアキントス・棘を抜く少年・マリシュオン・パイエーケス・アモル・クリトブロス・・・)

終盤は、新型コロナウイルス禍を思い出す場面も。

物語としてはシンプルな展開だが、かなり深い?かもしれません。