プローラ

日経連載「プロパガンダの威力 十選」(9)クレメンス・クロッツ設計「プローラ」

・・・海岸線に沿って、まるで巨大な壁のような建物が一直線に並ぶ。全長約500㍍の棟が5つ。いずれも6階建てで。窓のかたちもほぼすべて同じだ。これは、ドイツのリューゲン島にあるプローラという施設である。1936年に建設がはじまったナチの保養施設で、最大2万人収容できる構造だった。最大の特徴は、部屋の造りがすべて均一であること。地位や職業に関係なく、ドイツ民族であれば同じ空間で同じように余暇を過ごす。それは「民族共同体」というプロパガンダの具現化だった。・・・

 

リゾート施設?ではなく、巨大な収容所や監獄の塀のようにも見えるのです。

画一・均一構造は整っているように見えるが、無機質で「それ以外」を認めない怖さも感じる。

実際は戦争のため工事が中断し、保養施設という本来の目的として使われることはなかったが、現在では反面教師的に観光地化されているらしい・・・アイロニー。