心 Kokoro
「心 日本の内面生活がこだまする暗示的諸編」 小泉八雲 平川祐弘 訳
・・・この巻を構成する諸編は日本の外面生活よりもむしろ内面生活を扱っている。――― それだから「心」Kokoro(heart)という標題の下にまとめた。右に掲げた漢字で書かれるこの言葉は、「心情」heartだけでなく、情緒的な意味における「心意」mindをも意味し、「精神」spirit、「勇気」courage、「決心」resolve、「感情」sentiment、「情愛」affection、そして――― ちょうど英語で “the heart of things” (物事の核心)と言うのと同じように、―――「内なる意味」inter meaning をも意味する。・・・ 神戸にて。一八九五年九月十五日。
朝ドラ「ばけばけ」登場人物モデルの小泉八雲のエッセイ集。
そういえば朝ドラには、本書を彷彿とさせる場面があったなぁ~と思いながらページをめくる。
明治期、既に日本の宗教観・精神世界・気質を、ここまで深く理解し表現した外国人がいたことに驚きです。
エッセイなんですが、読みながらも(といっても字面を追うのが精一杯・・・)難解な箇所がいくつもあり、日本に住みながらも知らないことだらけ、マッタク至らない自身が恥ずかしいのと、同時に小泉八雲の深い洞察力に頭が下がるのでした。
訳するのも大変だったかと想像。
・・・咲き初めた春の花の紅の色、来たかとみるまに去る蟬、散りゆく秋の紅葉、雪のこの世ならぬ美しさ、人目をまどわす波や雲の動き、そうしたものの中に日本人は古い譬話(たとえばなし)を認めたのであった。そこには永遠に続く意味がこめられていた。火事、洪水、地震、疫病などの天変地異も、日本人に生者必滅の理(ことわり)を不断に教えたのである。・・・(日本文明の真髄)
現代社会への警鐘であるかも。
