遠野物語/山の人生

遠野物語・山の人生 柳田国男 著

・・・この話はすべて遠野の人佐々木鏡石君より聞きたり。昨明治四十二年の二月ごろより始めて夜分おりおり訪ね来たりこの話をせられしを筆記せしなり。鏡石君は話上手にはあらねども誠実なるひとなり。自分もまた一字一句をも加減せず感じたるままを書きたり。思うに遠野郷にはこの類の物語なお数百件あるならん。我々はより多くを聞かんことを切望す。国内の山村にして遠野よりさらに物深き所にはまた無数の山神山人の伝説あるべし。願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。この書のごときは陳勝呉広のみ。・・・

 

数多くある名前だけ知っている本~のひとつです。

現在の岩手県遠野市の伝説~ザシキワラシ・天狗・山男・山女・河童・雪女・猿の経立(ふったち)・狼(おいぬ)・狐、そして熊!!~といった話がてんこ盛り。

旧体の文面は読みにくいが、登場するモノノケ?や怪異現象に背筋をゾクゾクさせていました。

ビジュアルを想像しながら・・・かなりグロテスクだったり残酷だったり。

同掲載「山の人生」も、なかなかゾクゾクものです。

金沢や能登の話題(神隠し)もあり、徳田秋声・泉鏡花も登場してなかなか興味深い。

松任のあんころ餅由来の話(天狗)も~あんころ餅食べたくなりました。

 

本書には少ししか書かれていないが「山の民」との関連を想像しました。

太古から戦乱等の影響で人里離れた山々に逃れた人々がいた、人捨て・・・もあったかもしれない。

それらが伝説や怪異譚の源となっているのでは~と引き続き背筋をゾクゾクさせています・・・本当にモノノケが存在した?そして、現在も潜んでいるかも。