太平洋戦争と銀行

太平洋戦争と銀行 なぜ日本は「無謀な戦争」ができたのか 小野圭司

・・・本書では戦時銀行体制の中でも少し視点を変えて、「舞台裏」に焦点を当てる。この舞台裏は多岐にわたる。地理的な場合もあれば、制度的、さらには業務的な周辺部分もある。具体的には植民地や占領地での銀行業、硬貨の造幣や紙幣の印刷、また現金の確保や輸送、銀行店舗の閉鎖・避難などだ。・・・(まえがき)

 

昨年(2025年)が戦後80年~という区切りであったためか、終戦を扱った本を多く見かけました。

そんな中で積読状態だった一冊です。

 

兵器を作るにも、兵器を動かすのに必要な石油を得るにも、原材料や工作機械を買わなければならない。

当然ながら人件費も。

近代総力戦はお金がないと戦えない。

当時の日本は、戦時増税や軍事国債で(無理やり)賄い、戦争につぎ込み続けて形あるものを使い果たし、膨大な負債を抱えたバランスシートが残ってしまった。

ここまで行くと銀行がどうのこうのではなく、国家の財政、金融運営の問題だが、直接に現金を扱う銀行員たちがいなかったら、何もできなかったのですね。

銀行員からみた、終戦間際の勢力維持範囲(満洲国・台湾等)の混乱は、銃弾が飛び交う戦場よりも、戦争のリアルさを身近に感じました。

お金がない状態(お金自体も、お金の価値も)は、無法地帯、バイオレンスが支配する世界でしかない。

そして、民間人の悲惨さも・・・。

 

・・・銀行員たちは勝利を信じて軍を支え、敵に追われながら軍の金庫番も務め上げた。そして終戦を迎えると、戦争で途方もなく膨らんだ有形・無形の負債の清算を余儀なくされる。彼らは敗北が明らかになっても。「信用維持」という銀行業に携わる者としての矜持を手放さなかった。・・・(まえがき)

 

諸行無常と万古不易はあざなえる縄の如しとも・・・。