「家康、江戸を建てる」 門井慶喜

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「北条家の旧領関東二百四十万石を差し上げよう」

天正十八年、落ちゆく小田原城を眺めながら、関白・豊臣秀吉は徳川家康に囁いた。

その真意は、水びたしの低湿地ばかりが広がる土地と、豊饒な現在の所領、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃との交換であった。

愚弄するかのような要求に家臣団が激怒する中、なぜか家康はその国替え要求を受け入れた・・・・。(本書帯カバー)

 

合戦シーンはほとんど無し。

家康、・・・のタイトルだが、登場し活躍するのは、歴史の表舞台には出ることのない、技術者・職人たちです。

未来(希望)の土地、「江戸」を築き上げるべく、ほぼ同時期に開始された数々のインフラ整備と経済振興の物語が結実する結末は・・・感動的。

21世紀的歴史小説。

「江戸を創る」ではなく、「江戸を建てる」としたのは、それぞれの物語の主人公への思いが込められているからでしょう。

著者のお名前が「慶喜」というところも暗示的か?。

分厚いハードカバーながら、サクサク読めました。