「風の影」(上・下) カルロス・ルイス・サフォン 木村裕美 訳

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1945年のバルセロナ。霧深い夏の朝、ダニエル少年は父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で出遭った『風の影』に深く感動する。謎の作家フリアン・カラックスの過去の探求は、内戦に傷ついた都市の記憶を甦らせるとともに、愛と憎悪に満ちた物語の中で少年の精神を成長させる・・・。(本書上巻カバー)

 

海外の長編小説は、登場人物名がなかなか覚えられなくて~苦手だが、これはスイスイ読めました。

第二次世界大戦前~戦後のスペイン国内の混乱も物語に関わってきます。

スペイン人気質として、闘牛に現わされるように情熱的~闘争を好む~があるのだろうか?。

登場するのは良いも悪いも「情熱的」な人物ばかり。

スペインも・・・イギリス同様よくワカラナイ。(国の成り立ち、地域の独立志向があったりする・・・。)

 

「偶然に起こることなんて、なにもないように、わたしには思えるの。どんな物事にも、奥深いところに秘密の計画みたいなものがあって、ただ、わたしたちがそれを理解していないだけなのよ。たとえば、あなたが「忘れられた本の墓場」でフリアン・カラックスの小説を見つけたように。そして、いま、あなたとわたしが、ここにこうしているように。アルダヤ家の人たちが住んでいた、この館にいるようによ。すべてが、なにものかを形づくっている。わたしたちでは理解しきれないなにか。そのなにかに、わたしたちは所有されているのよ」(上巻P.410)

この、 主人公ダニエルと恋人?ベアトリスの会話が印象的でした。

この場合のなにかは著者サフォンだが・・・。

 

チョッと長い解説っぽい箇所が気になったが、過去から現在、そして未来へとつながる「影」の物語は「ひなた」へ~驚きの結末。

東野圭吾みたい?~とても良く練られています。

それにしても「忘れられた本の墓場」は、実在するのだろうか?。

バルセロナの都市伝説・・・。