「見立て日本」 松岡正剛

・・・花見だんご、月見うどん、きつねうどん、親子どんぶり。日本人は見立てが得意だと思われている。たしかに、いろいろ遊んできた。歌舞伎や浮世絵や黄表紙には見立ての技法が駆使された。(中略)見立ては連想と暗示を駆使して「滲み(にじみ)」「仄めかし(ほのめかし)」「うがち」をおこす。間接話法とも暗喩の一種ともいえるし、理屈嫌いともいえる。しかし見立てることによって、かえって物事や事態の本質が伝わることもある。速く伝わることもあるし、虚をつくこともある。日本の実景を「百辞の百景」と見立てて、写真と文章を合わせてみた。・・・(暗示と見立て)

 

本書表カバーは牛久大仏。

・・・牛久大仏の本体は阿弥陀如来で、西方極楽浄土におわし、左に観音菩薩、右に勢至菩薩を連れていらっしゃる。阿弥陀三尊だ。阿弥陀は「無限の光をもつ」という意味のサンスクリット語「アミターバ」を音写し「無量寿仏」とも訳した。これに対して奈良の大仏は毘盧遮那仏(ビルシャナブツ)で、華厳経の教主にあたる。日本の華厳宗の総本山は東大寺だから、そのホストマシンたる毘盧遮那仏は天平の東大寺に鎮座した。毘盧遮那は「ヴァイローチャナ」を音写したもので「光明遍照」とも意訳される。・・・(大仏、大丈夫)

昭和に入ってからも各地に大仏乱立~兵庫大仏・高岡大仏・越前大仏・・・。

大仏ではないが、加賀の観音立像は老朽化が問題視されています。(観音像の「見立て」は無かったが~)

各地の大仏、大丈夫?。

 

歴史、民族学~博覧強記な作者の「見立て」切り口は面白い、「見立て」となる画像も美しいです。

読む~というより「見立て」から深掘りを楽しむ~裾野が拡がる本書でした。